セカンド・アルバムのファースト・プレスは、ニューヨークのElectric Lady Land Studioでミックスされ、Sterling Soundでマスタリングとカッティングが行われました。
担当したエンジニアは、ミックスがEddie Kramer、マスタリングとカッティングがRobert Ludwigです。
セカンド・アルバムのようなラウドなロックに誰がふさわしいかと考えて、KramerがLudwigを指名したのかもしれませんね。
Jimi Hendrixの後期のアルバムもこのコンビが担当したのですが、とても迫力のある音に仕上がっています。
ファースト・プレスには、サフィックスがA~Cの3枚があります。
ファースト・プレスだからといって必ずしも一枚というわけではなく、あらかじめ売り上げが見込めたため、複数のラッカー盤を準備しておいたということなのでしょう。
写真はそのファースト・プレスです。
このファースト・プレス、数あるツェッペリンのレコードの中でも特に人気のある一枚ですね。
音質に定評があって、ダイナミック・レンジが広く、生々しい演奏を楽しむことができます。
この盤の特徴はレコードの内周ぎりぎりまで溝が切られていることです。
特にB面のデッド・ワックスの幅は7mm程度しかありません。
溝が蛇行する幅が広いとダイナミック・レンジを大きくとれる利点がありますが、レコードには内周に近づくにつれて周速度が上がって高域を収録しにくくなるという性質があります。
セカンド・アルバムの収録時間は41分程度ともともと短く、B面の最後の曲のBring It On Homeも高域が低めに録音されているように思えます。
もしかしたらLudwigはここをうまく狙ってカッティングしたのかもしれません。
45分ほどある一般的なアルバムより十分なダイナミック・レンジをとりつつ、高域の劣化を目立たせることなくできたのかと。
写真はサフィックスがAの盤です。RL SSと刻まれていますが、これはRobert LudwigとSterling Soundのイニシャルを示します。
音質に定評があると書きましたが、発売後には音とびが起きると問題になったことがありました。
溝を大きくしたため、針がとぶほどアームが振られてしまったのでしょうか。
Ludwigの話によると。。。
"アトランティック・レコードの重役の娘が発売後にこのレコードをかけたところ、音とびが起きてしまった。彼女の使ったプレーヤーがおもちゃのようなものだったから。"ということのようです。
手持ちのプレーヤーで実際に盤をかけてみても音とびがあったことはありません。
そういえば、問題がみつかってから対象の盤を回収したという話も聞きますが、どうなのでしょう。
すでに何十万枚も発売されたあとだったために回収しきれなかったのでしょうか(?)、今でもよく見かけることができます(かなりプレミアがついていますが)。