6月10日のOlympic Studiosで録音されましたが、記録されている中では最後の日になります。
この日に録音された曲には、Companion Discに収録された"Key To The Highway / Trouble In Mind”があります。
ブルースのスタンダード、二曲が繋げられています。どちらも8小節のブルースですね。
”Key To The Highway ”のもっとも古い演奏は、Charlie Segarというブルース・ミュージシャンによるピアノによる弾き語りだったようです。Big Bill Broonzyとの関わりの詳しいところはよくわからなかったのですが、Wikipediaでいろいろ説明されていますね。。。
https://en.wikipedia.org/wiki/Key_to_the_Highway
でもまあ、有名な演奏というと、Big Bill Broonzyのギターを主役としたものでしょうか。ツェッペリンもこのヴァージョンを参考によりゆったりと演奏したように思えます。ただいろいろな人が採り上げたので、もっと近い演奏が他にもあるかもしれませんね。
"Trouble In Mind"は、さらに詳細が不明で1800年代の二つのスピリチュアル・ソングに行きつくようです。Companion Discのクレジットでは、Richard M. Jonesとなっていますね。この辺もWikipediaでいろいろ説明されています。。。
https://en.wikipedia.org/wiki/Trouble_in_Mind_(song)
ツェッペリンの場合は、”Key To The Highway ”伴奏に合わせて、"Trouble In Mind"を歌っています。いろいろな人がカヴァーしていますが、歌詞は(知る限り)他の誰の演奏とも一致しない部分があったりしますが、単に適当に歌っているだけかな?という気もします。”Show The Movie”という一説がありますが、曲が最初に作られた時期に映画は一般的ではなかったでしょう。
Wikipediaでは、歌詞に二種類の流れがあると書いてあります。歌が作られた最初の頃のの歌詞には絶望的な印象がありますが、のちに”いつまでもブルーってことはない。いつかは太陽が輝くだろう”という希望を感じさせるような歌詞に改変されたとか(古いブルースは、歌い継がれていくにつれ、歌詞が変わってしまうことが珍しくないようです)。
ツェッペリンの場合は、最後の部分でにさらに内容がひっくり返って、”たまには雨が降ります”と続きます。寄り添っているようで、最後に突き放すのですね(笑)。
こちらは、"Key To The Highway / Trouble in Mind"のトラック・シートです。
3トラックだけなんですね。。。
”④”と書いてあるのが、ちょっと気になります。
この曲はアコースティック・ギターと、少しくぐもったヴォーカルによる演奏ですが、同じように録音された曲に、正式版に収録された"Hats Off To (Roy) Harper"と、未発表のメドレー(Feel So Bad, Fixin' To Die, That's Alright)があります。
どれも古い曲をシンプルなアレンジでカヴァーして、仕上がりも似ていることから、おそらくこの日に一気に、そして一発録りで録音したのではないでしょうか。
"Hats Off To (Roy) Harper"のロバートのヴォーカルは、古いVOXのアンプのトレモロ・チャンネルを通して録音したという話があるようです。ロバートのヴォーカルは澄んでいて、しわがれたブルース・マンの声のイメージと違います。彼らなりの工夫だったのかもしれませんね。この点も三曲共通していますね。
④というのは曲の番号で、少なくとも①~③まであるとということでしょうか。"Hats Off To (Roy) Harper"や未発表のメドレーはそのうちのどれかにあたるかもしれません。
"Hats Off To (Roy) Harper"は、Roy Harperの名前が曲名に使われていますが、曲自体はBukka Whiteの"Shake 'Em On Down"が元になっています。
ところでこれらの曲は、最初からレコードに収録されるために録音されたのでしょうか?アルバム制作中になにかもう一曲ほしいな~ということになり、たまたまお遊びで録音したカバー曲何曲かから選んだのでは?という気もします。
曲をいろいろ調べてみると、奥が深く、彼らの趣味もわかって面白いですね。
Big Bill Broonzyは、ブルースの貴重な音源を発掘しているDocumentからComplete CDが多数発売されています。"Key To The Highway"はその11枚目に収録されています。
彼のことを深く知るにはComplete CDを聴きたいところですが、まずは入門編でいいや、ということであればいろいろな形でまとめられたベスト盤を入手するのもいいかもしれません。
"Trouble in Mind"はたくさんの人がカヴァーしたようですが、Nina Simoneの演奏も有名なようです。こちらはニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルのライブ盤です。
Bukka Whiteのアルバムというとこれが有名です。ただ最近は入手が難しいかもしれません。Amazonでは、出品者によってプレミアを付けている盤も紹介ありました。いろいろコンピレーション盤があって選択肢も多いのでまあ、困らないでしょう。
Amazonには紹介されていませんが、The Complete Sessions 1930-1940(Travelin' Man TMCD 03)というCDもいいようです。
Making Of LZ III : ”Knowing That I'm Losing You” 1
Making Of LZ III 2 : ”Knowing That I'm Losing You” 2
Making Of LZ III 3 : "Jennnings Farm Blues" 1
Making Of LZ III 4 : "Jennnings Farm Blues" 2
Making Of LZ III 5 : "Jennings Farm Blues" 3
Making Of LZ III 6 : "Since I've Been Loving You" 1
Making Of LZ III 7 : レコーディングの流れ
Making Of LZ III 8 : Bron-Yr-Aur Cottage
Making Of LZ III 9 : Headley Grange
Making Of LZ III 10 : Olympic Studios 1
Making Of LZ III 11 : Olympic Studios 2
Making Of LZ III 12 : Olympic Studios 3
Making Of LZ III 13 : Olympic Studios 4
Making Of LZ III 14 : Olympic Studios 5
Making Of LZ III 15 : Island Studios 1
Making Of LZ III 16 : Island Studios 2
Making Of LZ III 17 : 7月初めの頃。。。
Making Of LZ III 18 : Ardent Studios 1
Making Of LZ III 19 : Ardent Studios 2
Making Of LZ III 20 : Ardent Studios 3
Making Of LZ III 21 : Ardent Studios 4
Making Of LZ III 22 : Ardent Studios 5
Making Of LZ III 23 : Since I've Been Loving You 2
Making Of LZ III 24 : another tracks 1
Making Of LZ III 25 : another tracks 2
Making Of LZ III 26 : CODA work tape
Making Of LZ III 27 : more another tracks
Making Of LZ III 28 : Artwork
Making Of LZ III 29 : マスター・テープは?
Making Of LZ III 30 : マスター・テープは? 2
Making Of LZ III 31 : マスター・テープは? 3
Making Of LZ III 32 : US盤の聴き比べ
Making Of LZ III 33 : US盤の聴き比べ2
Making Of LZ III 34 : US盤の聴き比べ3
Making Of LZ III 番外編 : Bombay Session
Making Of LZ III 番外編 : Bombay Session 2
Making Of LZ III 番外編 : Bombay Session 3