ツェッペリンは、Olympic Studiosでの録音を終えると、6月後半にReykjavíkとBath Festivalでライブ演奏を行いました。また7月中旬には西ドイツ・ツアーもありました。
Led Zeppelin IIIの録音はまだまだ終えることはできず、空いている7月の初旬に再びスタジオに入ったようです。ライブ演奏の前には、リハーサルや機材のチェックも必要だったでしょうし、なかなか忙しそうですね。。。
7月に利用したスタジオは、新しく設立されたIsland Studiosで、ツェッペリンはその最初のクライアントだったようです。
Conpanion Discのブックレットを見ると、"Gallows Pole"と"St. Tristan's Sword"の二曲に対して7月5日という日付が記載されています。
こちらは"Gallows Pole"のトラック・シートです。
トラック1-12とトラック13-16は、字の色が違っているので、別々に書き込まれた可能性がありますね。前者は7月5日のうちに一気に録音され、後者は後日録音されたのかもしれません。
前者にはヴォーカルも含まれているので、この曲は4人で一緒に録音されたでしょうか。ただ4人で演奏できる楽器は限りがあるので、例えばバンジョーや12弦ギターについては、7月5日の録音作業中にオーバー・ダビングされたでしょうか。
トラック8には黒字でGuitarと追記されています。トラックの中でベースの入っていない部分を使ったのかもしれませんね。トラック10, 11には12弦のギターが重ねられたようですが、トラック11がMasterとして採用されたのでしょうか。
この曲、トラックが足りなくなるほどたくさんの弦楽器が重ねられているのが興味深いですね。ジミーは”ギターのオーケストラ曲”に興味があって”、”天国への階段”はそれを具現化したと話しています。この曲もその流れの中にあるのかな??
Companion DiscにはRough Mixが収録されていますが、これを聴いてみましょう。
最初はヴォーカルとアコースティック・ギターで始まります。正式版では12弦が左から聴こえてきますが、こちらでは6弦が右から聴こえてきます。
その後左からベースが入り、ドラムが入ってきますね。
全体にリバーブがかかっていないため、とても生々しく聴こえます。
最小限の楽器だけで簡素な印象ですね。この録音を聴きながらどんなふうに重ねていこうか、考えたのかも知れません。
そうそう歌詞の、絞首台に向かう、だんだんと緊迫していくあたりは無編集ですね。正式版では少々カオスになっているせいか(?)カットされています。
ところでこの曲については、アドバンスで、プロモーション・シングル(33r.p.m.!)が製作されました。片面ステレオ、片面モノラルになっています。
アドバンスということもあってか、編集はされておらず、カオスになっている部分はそのまま収録されています。
"Glallow's Pole"は、もともとはヨーロッパの民謡だったようで(曲名は “The Maid Freed From The Gallows”だったという話もあります) 、 様々なミュージシャンが採り上げているようです。
ツェッペリンの演奏は、曲調についてはLeadbelly、歌詞については Fred Gerlachに近いのではないかと思います。とりあえず曲の原型があったので、歌詞を考える必要もなく、4人で一緒に曲に取り組むことができたのでしょうね。アレンジがよく練られていて、自分たちの個性を出していると思います♪
こちらは"St. Tristan's Sword"の。。。2トラックにミックス・ダウンされたマスター・テープでしょうか。
ミックス・ダウンされた日付が7月5日なのですね。6テイクあるようです。
注記の欄が何を意味しているのか。。。Compは完奏した、BDはbreakdownの略で途中でやめてしまった。Goodは演奏の出来を示しているのでしょうか?
P/BやFMはわからないですね。。。うーん。
またこのテープにはDolbyが使われているようです。
Island StudioにはPhilipps製の2トラック R2Rデッキが導入されていたようです(Olympic Studiosやあとで出てくるArdent Studiosは3Mですか?) 。後々アルバムにまとめる作業では、NRやイコライザー・カーブの互換性に気を付ける必要がありそうです。
そうそうこの曲は、2015年に発売されたCODAのCompanion Discに収録されました。インストルメンタル曲なのですが、こんなものがあったのか~と、最初に聴いたときにはびっくりしましたね。。。曲調は、なんとなく70年頃のジミ・ヘンドリックスに近い印象を受けました。ファンク・ロックというか。。。
一方で曲の題名は、ファンクとはあまり関係がないようです。
Tristanというのは、イギリスの古い神話に出てくる登場人物のようです。剣と彼の関係はちょっとよくわかりませんね。この辺の話に詳しい人がいれば訊いてみたいです。。。
https://en.wikipedia.org/wiki/Tristan
LeadbellyとFred Gerlachの”Gallows Pole”はこちら。。。
Olympic StudiosやIsland Studiosについて、びっくりするような情報がいっぱいとても興味深いです。おすすめです、
Making Of LZ III : ”Knowing That I'm Losing You” 1
Making Of LZ III 2 : ”Knowing That I'm Losing You” 2
Making Of LZ III 3 : "Jennnings Farm Blues" 1
Making Of LZ III 4 : "Jennnings Farm Blues" 2
Making Of LZ III 5 : "Jennings Farm Blues" 3
Making Of LZ III 6 : "Since I've Been Loving You" 1
Making Of LZ III 7 : レコーディングの流れ
Making Of LZ III 8 : Bron-Yr-Aur Cottage
Making Of LZ III 9 : Headley Grange
Making Of LZ III 10 : Olympic Studios 1
Making Of LZ III 11 : Olympic Studios 2
Making Of LZ III 12 : Olympic Studios 3
Making Of LZ III 13 : Olympic Studios 4
Making Of LZ III 14 : Olympic Studios 5
Making Of LZ III 15 : Island Studios 1
Making Of LZ III 16 : Island Studios 2
Making Of LZ III 17 : 7月初めの頃。。。
Making Of LZ III 18 : Ardent Studios 1
Making Of LZ III 19 : Ardent Studios 2
Making Of LZ III 20 : Ardent Studios 3
Making Of LZ III 21 : Ardent Studios 4
Making Of LZ III 22 : Ardent Studios 5
Making Of LZ III 23 : Since I've Been Loving You 2
Making Of LZ III 24 : another tracks 1
Making Of LZ III 25 : another tracks 2
Making Of LZ III 26 : CODA work tape
Making Of LZ III 27 : more another tracks
Making Of LZ III 28 : Artwork
Making Of LZ III 29 : マスター・テープは?
Making Of LZ III 30 : マスター・テープは? 2
Making Of LZ III 31 : マスター・テープは? 3
Making Of LZ III 32 : US盤の聴き比べ
Making Of LZ III 33 : US盤の聴き比べ2
Making Of LZ III 34 : US盤の聴き比べ3
Making Of LZ III 番外編 : Bombay Session
Making Of LZ III 番外編 : Bombay Session 2
Making Of LZ III 番外編 : Bombay Session 3