LED ZEPPELIN - CELEBRATION DAYS

Led Zeppelinの音源を少しずつ集めています。

M44カートリッジ 実効垂直角の不一致による影響

ちょっと脱線気味ですが、実効垂直録音角と垂直トラッキング角が不一致の場合、どのような問題が起こるのでしょうか?

山本武夫氏が書いた「レコードプレーヤー」という本によると...

  1. 垂直再生信号に第2高調波ひずみが発生する。
  2. 複数の垂直信号の場合には混変調ひずみが発生する。
  3. 左右チャネル間で周波数変調ひずみやクロストークが発生する。

なるほど。なんとなく想像がつきますね。

 

また、レコード盤に収録された音楽によっては、影響が出やすいものと出にくいものがあるそうです。

左右で別の楽器がなるような、よく分離している音楽は、垂直方向に針が動きやすい音楽なので、影響が出やすいです。

一方で、モノラルか、それに近いほど影響は少なくなります。

これも想像がつきますね。

 

「レコードプレーヤー」にはいろいろなカートリッジの垂直トラッキング角が紹介されています。

11種類のカートリッジは、16度から30度くらいの範囲でばらけていて、特に20度前後のものが多いようです。

これは垂直トラッキング角を完全に15度に合わせようとすると、角度が浅すぎてカートリッジの底を擦ってしまうという問題が出てくるためです。

仮に底を擦るのを避けようとカンチレバーを伸ばすと、レバーの等価質量が大きくなったり、レバーが撓んでしまうという問題も出てきてしまいます。

結局、多少の歪みは仕方がないとして、レバーの等価質量を小さくし、レバーの撓みにくさを優先させて設計するのだとか。

一方で、M44もそうなのかはっきりとはわかりませんが、Shureのカートリッジは、コイルの設計を工夫して垂直トラッキング角15度を確保しています。これについてはまたしばらくしてから詳しく書いてみます。

 

これまで実効垂直録音角と垂直トラッキング角を15度に一致させることが重要、と書いてきましたが、ちょっと注意が必要です。

実効垂直録音角が15度に統一されていったのは1964年以降のことです。

しばらくは15度ではない盤もあったでしょうし、それ以前の盤は15度ではありませんでした。

M44が実力を発揮するのは、実効垂直録音角が15度でカッティングされた盤です。

それ以外の盤については、適切な垂直トラッキング角のカートリッジを選択した方が(実効垂直録音角と垂直トラッキング角という観点だけに限っては)、いい結果になる可能性が高いです。

またモノラル盤に関しては、どんなカートリッジでも違いはないように思います。

 

M44カートリッジ 有効垂直角

M44の広告によると、有効垂直角度がまちまちだと、IMや高調波ひずみがでると書いてあります

どうしてそうなるのか、山本武夫氏が書いた「レコードプレーヤー」という本で調べてみました。

ざっくりまとめると。。。

  • 垂直の信号を録音する場合、カッター針はカッター振動系の中心を回転中心としてA-A'の軌跡を描く。
  • 垂直方向に対するA-A'方向の傾き角を垂直録音角θという。
  • 垂直の信号を再生する場合、再生針は再生振動系の中心を回転中心としてB-B'の軌跡を描く。
  • 垂直方向に対するB-B'方向の傾き角をカートリッジの垂直トラッキング角φという。
  • 垂直録音角θと垂直トラッキング角φが等しければ問題はないが、一般的には相違していて、これが歪の原因になる。


。。。ということのようです。
厳密にはA-A’とB-B'は直線でなく、円弧だと思うのですが、動き量が小さいので、ほぼ直線と考えていいでしょうか。

 

加えてこんなことも書かれています。

  • カッター針はA-A'上で単振動をするため、垂直録音角が0度にならない限り、正弦波を録音しても音溝の形は正弦波状にならない。
  • ラッカー盤には弾性があるので、カッティング針の動きがそのままラッカー盤に残るわけではない。
  • 垂直録音角θに対して、ラッカー盤の弾性で戻った角度を実効垂直録音角θeという。
  • アメリカのCBSRCAなどのレコードでは、垂直録音角θ23度のカッターを使っていたので、実効垂直録音角θeは約0度になってしまう。
  • ヨーロッパ系のロンドンなどのレコードでは、垂直録音角θ0度のカッターを使っていたので、実効垂直録音角θeは約-10度になってしまう。


前回のカッターと再生針の実効垂直角を統一するという話は、こういった現象が背景にあったのですね。

M44カートリッジ 2 M44の特徴

ShureのカタログにM44が初めて載ったのは、1964年(今からちょうど60年前ですね)のことだったようです。
画期的な製品だったようで、紹介に1ページ費やされています。


少し読んでみましょう。。。

 

音については昼と夜ほどの違いがあるようです。

  • 可聴域の周波数特性がフラットであるとか、コンプライアンス(25 x 10-5 cm/dyne)については改善されたわけではない。
  • IM(インターモジュール歪)と高調波ひずみがこれまでの製品、Shure Stereo Dyneticに比べて75% から 90%減少している。
  • チャンネル間のクロストークが低中域で打ち消され、チャンネルセパレーションが優れている。

Shure Stereo Dyneticというのはステレオ・レコード用の初期のカートリッジで、M3やM7のことです。

 

針が格納式になっているようです。

  • トーンアームに過剰な力がかかると瞬間的に引っ込む。

うーん、これはどういうことでしょう?針が上下方向に動くということでしょうか?

格納。カートリッジ本体に針が引き込まれるということはないし。。。

 

ここからが重要ですね。こうした改善がなにによってもたらされるかというと、有効垂直角度によるもののようです。

  • 64年当時、それ以前のカッター針と再生針は、どれも有効垂直角度がまちまちだった。
  • 角度の違いがIMや高調波歪の原因とされ、RIAAや EIAが提案する有効カット角 15度に統一されつつある。
  • 15度はShure Stereo Dyneticでは実現できず、新設計のM44で可能となった。

 

図が載っていますが、確かに15度となっていますね(レコード盤の法線とカンチレバーの法線との角度が15度となっていてぱっと見てみたときにちょっと混乱するのですが)。

 

 

M44カートリッジ

少しツェッペリンの話から離れます。

 

皆さんは、カートリッジ、何を使っていますか?

M44といったら、どんなイメージでしょう。

 

DJが使うやつだろ?とか。

安物のカートリッジだよね?といった話をよく聞きます。

 

一方で、ツェッペリンが現役だった50年前からレコードを聴いている友人は、いいカートリッジだよ、と教えてくれました。

 

評価がいろいろなカートリッジですが、面白そうだったので少し調べてみることにしました。

 

これから何回かに渡って、その結果を(だらだら)書いていきたいと思います。

 

 

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Shureのサイトでは、かなりの昔にさかのぼって製品カタログをダウンロードできるようになっています。

 

まずはM44が、最初期にはどのように紹介されているか見てみましょう。

カタログはこちらにあります。

https://service.shure.com/s/article/vintage-shure-catalogs-1933-1984?language=en_US

 

こちらは1964年のカタログです。

http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://content-files.shure.com/KnowledgeBaseFiles/cjrhnpk380syn0189omkw3mwc/1964_20microphones_20and_20high_20fidelity_20components.pdf

 

M44は14ページに載っています。

次のページには、骨董品のような、M3やM7も載っていますね。

今から60年前。。。本当に古くから作られていたようです。

 

 

 

 

 

Lucifer Rising 9

Lucifer Risingの話も今回でおしまいです。

最後に、もう一度、Sound Tracksの内容をおさらいします。

 

Lucifer Risingに関連する音楽は1、2枚目のCDに収められています。

曲目は以下の通り。

 

Lucifer Rising
1-1 Lucifer Rising - Main Title
1-2 Incubus
1-3 Damask
1-4 Unharmonics
1-5 Damask - Ambient
1-6 Lucifer Rising - Percussive Return


Lucifer Rising: The Second Coming
2-1 Lucifer Rising Early Mix
2-2 Sonic Textures 1 - Earth
2-3 Sonic Textures 2 - Air
2-4 Sonic Textures 3 - Fire
2-5 Sonic Textures 4 - Water
2-6 Sonic Textures 5 - Ether

 

1-1が映画本編で使われたものです。

とはいえ公開はされず、お蔵入りになってしまいました。

後にボーソレイユの音楽が被せられ、正式版となったのはこちらの方です。

 

1-2~5は断片的な音楽で主にシンセサイザーで演奏されています。

1-6は1-1の一部に近く、題名の通り、歯切れのよいパーカッションが被せられています。

 

2-1は1-1の初期ミックスで1-1に比べると、少しスカスカな印象です。

2-2~6は、音楽というより効果音でしょうか。テルミンが多用されています(「胸いっぱいの愛を」とか、77年のライブでのギター・ソロのような使い方です)。

 

こうして全体的に見てみると、ギターの演奏が少ないようです。

映画の雰囲気に合わせてサントラを作ったのでしょうけれど、ギタリスト、ジミーの作品として期待すると、ちょっと肩透かしにあったような気になります。。。

 

Big Ears 2024

 

ジョンジーが久しぶりに演奏をしたそうです♪