アンガー監督は、カリフォルニアを拠点にして、1967年頃にLucifer Risingの撮影を始めました。映画に使わる音楽は翌68年頃から検討を始めたようです。
ロンドンに移って出資者を探す傍ら、アンガー監督はミック・ジャガー、キース・リチャーズ、マリアンヌ・フェイスフルらと知り合いました。
オカルトに関心があったミック・ジャガーは、アンガー監督と意気投合したようです。
ミックは、新しく購入したモーグ・シンセサイザーを使って、Lucifer Risingのために作曲するところまで話は進みました。
ただこの音楽が実際にLucifer Risingに使われたことはなく、代わりに"Invocation of My Demon Brother"というアンガー監督の映画に使われることになりました。
こちらはその映画です。
セリフはなく、不穏な音楽が途切れなく続いていますね。
このような手法は、のちのLucifer Risingでも同様です。
そういえばアンガー監督は、ハイド・パークのコンサートを撮影したそうなのですが、Invocation of My Demon Brotherでは、そのときの映像が断片的に見られます(9:50あたり ) 。
その後、ミックはアンガー監督と距離を置くようになります。
69年にオルタモントの悲劇があり、オカルトのような不吉なものは避けたかったのかもしれません。
かといって完全に途切れたわけではなく、映画にはミックの弟のクリス・ジャガーやマリアンヌ・フェイスフルが出演していたりもします。
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しばらく中断を強いられましたが、音楽の制作は、アンガー監督がジミーと知り合うことで再開します。
オカルトに傾倒していたジミーは、アンガー監督を72年にボレスキン・ハウス(かつてクロウリーが所有していた建物です)に招待したり、ロンドンの家に住まわせたり、仲良くなったようです。
自然な流れで、ジミーはLucifer Risingのサントラを担当することになりました。
このサントラ、昔はなかなか聴くことができませんでしたが、今ではジミーのオフィシャル・サイトから簡単に注文することができます。