Barry DiamentはSteve Hoffmanのフォーラムに書き込みをしていますが、情報は断片的で、いくつかのトピックに分かれています。
それらをまとめると以下のようになるでしょうか(彼の書き込みをすべて網羅しているとは考えられませんが)。
- Barry Diamentはアトランティック・レコードのCDマスター部門に在籍していた。その部門には、他に三、四人のエンジニアがいた。
- ほとんどのアルバムは、フラット・コピーされたアナログ・テープを元にマスタリングした。セーフティー・コピーの類と考えられるが素性はわからない。
- 最後のスタジオ・アルバム、"Presence", "In Through The Out Door" , "Coda" のうち二つか、または三つはLPプロダクション・テープ(EQ'd Limited copies)を元にマスタリングした。※明確には思い出せない様子。
- マスター・テープの所有者はジミーで、作業はアトランティック・レコードが持っていたコピーを使わなければならなかった。
- 多くのマスタリング・エンジニアは、ソニーのコンバーターのピーク・メーターの代わりに、VUメーターを使ってレベルを設定した。彼らのアプローチはがアナログ盤のマスタリングに近い。Diamentのアプローチは大きな音になるようなアプローチだったが、後の音圧の高い音という意味ではない。
- 最善の音を目指して、イコライザーは控えめにかけただけ。
- リミッターは使わなかった。
- Diament自身のケーブルを使ってコンソールをバイパスし、Studerの再生デッキとA/Dコンバーターを直結した。
- 比較のためのLPを持っていなかったので、テープに収録されていた音が最善となるようにマスタリングした。
- (彼の考えとして)マスター・テープとセーフティー・テープは、適切にコピーする方法をとれば音質の劣化はない。
セーフティー・コピーは不測の事態に備えてとっておくマスター・テープのコピーでしょう。
LPプロダクション・テープというのはLPを製作するときに音を調整したテープのようです。
80年代というと、A/DコンバーターはSONYのPCMプロセッサーが使われていた可能性があります(PCM-1630?)。当時はオーバー・ビット・サンプリングが出来ず、16bit/44.1kHzでサンプリングされていました。
Diamentはコピーされたテープ、出回り始めた未発達のデジタル機器を駆使し、出来る限り最善の方法でマスタリングをしたようですね。