再び「No Quarter」について書いてみます。
「Houses Of The Holy」は、1972年の初夏にスターグローブスで録音した、と昔から言われていました。確かにスターグローブスで録音された曲は多いのですが、ロンドンで録音された曲も多いようです。「No Quarter」もそのうちの一曲で、レコードに使われたベーシック・トラックは、ロンドンのアイランド・スタジオ2で録音されました。
録音した時期は1971年12月で、他の曲より大分早かったようです。1970年暮れの「Four Symbols」のリハーサルではすでに演奏されていたので、この曲だけが先行していたようです(もっとも1971年はツアーで忙しく、一年も塩漬けにされていたことになりますが)。
2014年に発売された「Houses Of The Holy」のコンパニオン・ディスクでは、この曲のラフ・ミックスを聴くことができます。
1. No Quarter Rough Mix With JPJ Keyboard Overdubs - No Vocals
スーパー・デラックス・エディションに付属するブックレットでは、多くの曲のトラック・シートを見ることができるのですが、「No Quarter」については記載がありません。
他の曲に比べて早い時期に録音されたため、この曲のテープは別に管理されていたのでしょうか。もしトラック・シートが残っていれば、なにか面白い発見があったかもしないので、ちょっと残念です。
録音データについては記載があります。
録音は前述の通り、1971年12月3日にアイランド・スタジオ2で行われ、エンジニアはアンディ・ジョンズ、アシスタント・エンジニアはボブ・ボッターが担当しました。
またラフ・ミックスは、日付はわからないのですが、アンディ・ジョンズとフィル・ブラウンによって制作されたと記載されています。
演奏は、ヴォーカルを除くギター、ベース、ドラム、キーボードによるものです。
正式なミックスよりギターがやや遠く、キーボードが前面に出ていて、ギター・ソロはありません。テルミンによる効果音は、すでにダビングされている状態です。全体的には大分仕上がっていて、あとはヴォーカルとギター・ソロをダビングして少しいじれば完成しそうな印象です。
ところで、このラフ・ミックスはいつ頃制作されたのでしょうか。
6月第2週頃にニュー・ヨークでミックス作業があったようですが、その音源との関係は? 何回かあとに6月の音源について書くので、そのときに一緒に考えてみたいと思います。